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日々の暮らしの備忘録

医薬分業に関する資料・文献メモ

医薬分業に厳しい目が向けられている.医療保険制度が色々と厳しい状況にあるなかで,「医薬分業が医療費を膨張させた」「薬局は儲けすぎだ」「医薬分業は機能していない」等の様々な批判が関係者の間であがっている.で,『社会保険旬報』の2/1号から漆畑稔氏による連載「医薬分業の過去,現在,将来」がはじまった.医薬分業に関心はあるが,議論や文献の整理は未着手のため,これを機に簡単なメモ.

まず日本薬剤師会のHPには以下のような記述がある.

■ 最小の薬剤で最大の効果を
現代の患者さんからは、医薬分業は“二度手間”に見えるかもしれません。しかし、『医制』制定に向けて当時の文部省が提出した上申書には「医師自ラ薬ヲ鬻(ヒサ)キ候ヨリ今日百端ノ弊害ヲ醸(カモシ)候」と記されています。
医師は医学の専門家であり、薬物療法を熟知している半面、複数の薬を服用した際の相互作用や用量を増やした際に起こる副作用等の安全性については、薬という化学物質に精通している薬剤師のようには詳しくありません。それでも、目の前の患者さんが複数の病気や症状に悩んでいれば、医師は3剤、4剤と処方する薬を増やして助けようとするのが道理です。また、明治時代の開業医が診察料よりも薬剤料で生業を立てていたことも、過剰投薬と薬害を助長する土壌となりました。医薬分業を廃止し、薬学の専門家である薬剤師が医療の場から消えれば、今日においても、明治時代と同じ状況が起こりえます。
医薬分業はたしかに“二度手間”ですが、その“二度手間”こそが患者さんの安全を守り、最小の薬剤で最大の効果を上げることで、薬剤費の適正化にも役立っているのです。

当然ながら,医薬分業を推している.さらに,日本薬剤師会のHPには,医薬分業がどの程度進んでいるのかを「医薬分業進捗状況」というページで紹介している.そのひとつの指標が医薬分業率.これについてもHPで紹介されている.

■ 進む完全分業化
外来で処方箋を受け取った患者さんのうち、院外の薬局で調剤を受けた割合を「処方箋受取率」といい、「医薬分業率」とも呼んでいます。
医薬分業はその後の長い道のりをへて、厚生省が37のモデル国立病院に対して完全分業(院外処方箋受取率70%以上)を指示した1997年以降、急速に進み、2003年に初めて全国の医薬分業率が50%を超えました。
2012年度の1年間に全国で発行された処方箋の枚数は7億5888万枚にのぼっていますが、医薬分業率は66.1%に達し、完全分業にようやく近づきつつあります。

さて,医薬分業に関する研究はどの程度進んでいるのか不明であるが,密林で検索してみたところ,以下の文献がヒットした.

 

 

医薬分業の歴史―証言で綴る日本の医薬分業史

医薬分業の歴史―証言で綴る日本の医薬分業史

 

 

“真の医薬分業”へのあくなき挑戦―ジェネリック医薬品が日本の医療を変える

“真の医薬分業”へのあくなき挑戦―ジェネリック医薬品が日本の医療を変える

 

 

医薬分業への道―日本調剤の終わりなき挑戦

医薬分業への道―日本調剤の終わりなき挑戦

 

 

100%医薬分業への課題―フランスの現状との比較で考える (薬事日報新書 20)

100%医薬分業への課題―フランスの現状との比較で考える (薬事日報新書 20)

 

 

医薬分業の時代 (勁草 医療・福祉シリーズ)

医薬分業の時代 (勁草 医療・福祉シリーズ)

 

 

医薬分業の立体像―その現状と問題点 (1981年)

医薬分業の立体像―その現状と問題点 (1981年)

 

 

昭和期における医薬分業の研究

昭和期における医薬分業の研究

 

 

明治期における医薬分業の研究

明治期における医薬分業の研究

 

 

大正期における医薬分業の研究

大正期における医薬分業の研究

 

 医薬分業研究の決定版のような文献が存在するのかは分からないが,文献は多くない.

医薬分業に関する記事はどの程度かと思いググると,医科歯科の川渕孝一氏の記事がみつかった.色々と批判があげられている.

医薬分業は患者のためか?  WEDGE Infinity(ウェッジ) http://bit.ly/HoyYZY 

 ちなみに平成23年版厚生労働白書では,医薬分業の利点について以下の点を挙げている.

[医薬分業の利点]

1)使用したい医薬品が手元に無くても、患者に必要な医薬品を医師・歯科医師が自由に処方できること。

2)処方せんを患者に交付することにより、患者自身が服用している薬について知ることができること。

3 )「かかりつけ薬局」において薬歴管理を行うことにより、複数診療科受診による重複投薬、相互作用の有無の確認などができ、薬物療法の有効性・安全性が向上すること。

4)病院薬剤師の外来調剤業務が軽減することにより、本来病院薬剤師が行うべき入院患者に対する病棟活動が可能となること。

5)薬の効果、副作用、用法などについて薬剤師が、処方した医師・歯科医師と連携して、患者に説明(服薬指導)することにより、患者の薬に対する理解が深まり、調剤された薬を用法どおり服用することが期待でき、薬物療法の有効性、安全性が向上すること。

他に重要文献があれば随時追加していく予定.