鏡諭「介護保険:これからの10年でできること」『月刊介護保険 Vol.237』
介護保険創設に向けては,国保の二の舞を憂う市町村に納得してもらう必要があった.当時の厚生省ではカリスマ職員といわれる市町村職員を呼び,省の幹部やカリスマ職員たちと勉強会が開催されていたそうである.所沢からは鏡氏が参加していたそうだ.このときのネットワークはいまでも続いていると聞いたことがある.
・鏡諭「第8回介護予防と地域包括支援センターの創設(2):介護保険 これからの10年でできること」『月刊介護保険 Vol.237』pp.46-49.
内容
はじめに
・2006年4月からの介護予防給付の見直しによって,地域支援事業と地域包括支援センターが制度化された.
1.地域包括支援センターの今日的課題
・地域包括支援センターは,2015年厚労省調査によれば,全国市町村で4557.委託が72.2%,自治体直営が27.2%.委託先は社会福祉法人が54.9%,社会福祉協議会が18.6%,医療法人が16.9%で約90%の割合.
・地域包括支援センターの制度的根拠は介護保険法115条の45第1項第2号に規定する地域支援事業の包括的支援事業に基づく.業務は,総合相談支援,認知症支援,権利擁護,虐待防止,困難継続ケースにかかるケアマネ支援,介護予防マネジメント.
・この介護予防マネジメントは,介護保険における介護予防支援サービス計画に基づくケアマネジメントではない.この介護予防が意味するのは,115条の45第2項第3号に記載があるとおり,「居宅要支援者の要介護状態となることの予防又は要支援者の軽減若しくは悪化の防止」であり,指定介護予防支援又は特例介護予防サービス計画書に係る介護予防支援を受けているものは除外される.つまり要支援1,2の認定を受けたもののマネジメントではない.
・一方,要介護認定によって要支援1,2に該当するものは,地域包括支援センターが受託できる指定介護予防支援事業所のケアマネが介護予防支援サービスを計画し,介護予防マネジメントを行う.
・この構造は理解されておらず,地域包括支援センターが要支援者の介護予防マネジメントを行っていると誤解している人は多い.
2.2015年改正による地域包括ケアシステムの事業
・地域包括支援センターの委託事業部分は,委託者である市町村が地域ケアの視点にたって責任主体として仔細に指示・指導しない限り生きたものとならない.
・要援護者の調査を行い,それをデータベース化し,地域包括支援センターと情報共有.
3.2015年改正の課題
・2015年改正により,市町村は新たな総合事業を実施するが,具体的には,介護予防訪問介護と介護予防通所介護に近い事業を,市町村の地域支援事業として実施する.
覚書
・ややマニアックな内容.
・地域包括支援センターの委託先が異なることを利用.
・2006年,2015年法改正を利用.