shakaihoshotaroの備忘録

社会保障に関するメモ帳

Kranker (2016) メディケイド疾病管理プログラムが医療費に与えた影響

近年のアメリカの多くの州で導入されているメディケイド疾病管理プログラムが医療費にどのような影響を与えたのかを検証した論文.プログラム導入は医療費適正化を掲げていたため,実際に医療費は削減されたのかを検証する必要がある.結果は,一人あたり一月平均 $89を削減したがこの額はプログラム導入よりも低いそうだ.日本のメタボ健診についてもこうした分析が必要.

Kranker, K. (2016). Effects of Medicaid disease management programs on medical expenditures: Evidence from a natural experiment in Georgia. Journal of Health Economics, 46, 52–69. 

Abstract:
In recent decades, most states’ Medicaid programs have introduced disease management programs for chronically ill beneficiaries. Interventions assist beneficiaries and their health care providers to appropriately manage chronic health condition(s) according to established clinical guidelines. Cost containment has been a key justification for the creation of these programs despite mixed evidence they actually save money. This study evaluates the effects of a disease management program in Georgia by exploiting a natural experiment that delayed the introduction of high-intensity services for several thousand beneficiaries. Expenditures for medical claims decreased an average of $89 per person per month for the high- and moderate-risk groups, but those savings were not large enough to offset the total costs of the program. Impacts varied by the intensity of interventions, over time, and across disease groups. Heterogeneous treatment effect analysis indicates that decreases in medical expenditures were largest at the most expensive tail of the distribution.

「平成26年国民年金被保険者実態調査」

厚労省が昨年の12月25日に「平成26年国民年金被保険者実態調査」の結果を公表した.

厚労省国民年金被保険者実態調査

 厚労省のページによれば,この調査目的は以下である.

国民年金第1号被保険者について、保険料の納付状況ごとに、その実態を明らかにし、被保険者の国民年金に対する意識、保険料未納の理由など今後の国民年金事業運営に必要な資料を得ることを目的とする。」

e-statから詳細な統計表を確認できる(最新の調査についてはまだ利用できない).都道府県別の集計も可能だったはずなので,アイディア次第で色々な利用方法があるだろう.厚労省が発表した単純集計の結果からは興味深い点が幾つかあるので,以下にメモする.

 平成26年国民年金被保険者実態調査

調査について

  • 第1号被保険者を直接調査する「郵送調査」の対象は62001人で有効回収率は36.6%
  • 「郵送調査」の対象者の平成25年の所得や平成26年度の課税状況などを市町村職員に尋ねる「所得等調査」の対象は1830市区町村で有効回収率は96.6%
  • 調査票

保険料納付状況について

  • 結果の概要
  • 国民年金第1号被保険者 1,594 万 7 千人注の保険料納付状況をみると、納付者が 749 万 7 千人(総数の 47.0%)(うち完納者が 584 万 6 千人(同 36.7%)、一部納付者が 165 万 1 千人(同 10.4%))、1号期間滞納者が 368 万 4 千人(同 23.1%)、申請全額免除者が 250 万 7 千人(同 15.7%)、学生納付特例者が 179 万 4 千人(同 11.3%)、若年者納付猶 予者が 46 万 4 千人(同 2.9%)となっている 」(「結果の概要」から抜粋)
  • 「保険料納付状況を平成 23 年調査(前回調査)と比較すると、納付者の割合は 1.6 ポイン ト、1 号期間滞納者の割合は 3.1 ポイントの減少となる一方、申請全額免除者の割合は 2.5 ポイント、学生納付特例者の割合は 1.4 ポイント、若年者納付猶予者の割合は 0.7 ポイン トの増加となっている(図1)。 」(「結果の概要」から抜粋)
  • 「届出適用者・職権適用者別に保険料納付状況をみると、届出適用者(1,164 万 6 千人) では、納付者の割合が 54.2%、1号期間滞納者の割合が 19.1%となっているのに対し、職 権適用者(430 万 2 千人)では、納付者の割合が 27.6%、1号期間滞納者の割合が 33.8% となっており、職権適用者の方が1号期間滞納者の割合が高くなっている 」(「結果の概要」から抜粋)
  • 「年齢階級別に保険料納付状況をみると、納付者の割合は年齢階級が上がるにつれて高く なっている。一方、1号期間滞納者の割合は 30~34 歳で 32.6%と最も高く、これ以上の 年齢階級では、年齢階級が上がるにつれ低くなる傾向にある。 」(「結果の概要」から抜粋)
  • 「都市規模別に保険料納付状況をみると、都市規模が大きくなるほど納付者の割合が低く、 1号期間滞納者の割合が高くなっている 」(「結果の概要」から抜粋)
  • 「年齢階級、都市規模別に1号期間滞納者の割合をみると、大都市の 30~34 歳において 36.0%と最も高くなっている。また、全ての年齢階級において、都市規模が大きくなるほ ど1号期間滞納者の割合が高くなっている 」(「結果の概要」から抜粋)

就業状況について

  • 「第1号被保険者の就業状況をみると、自営業主が 16.0%、家族従業者が 7.6%、常用雇用が 9.4%、パート・アルバイト・臨時が 30.9%、無職が 33.3%となっている。無職が最も多く、次いでパート・アルバイト・臨時となっているが、これは一部納付者及び1号期間滞納者を除く保険料納付状況についても同様である。男女別にみると、男子では無職に次いで自営業主の占める割合が高くなっているが、女子では無職に次いでパート・アルバイト・臨時の占める割合が高くなっている」(「結果の概要」から抜粋)
  • 「年齢階級別に就業状況をみると、30~34 歳より下の年齢階級においては、パート・アル バイト・臨時及び無職の占める割合が高くなっており、35~39 歳より上の年齢階級におい てはパート・アルバイト・臨時及び無職に加え、自営業主の占める割合が高くなっている。 」(「結果の概要」から抜粋)

世帯・所得・支出の状況について

  • 「第1号被保険者の属する世帯の平均世帯人員数は 3.1 人となっている。また、保険料納付状況別に単身世帯(世帯人員1人の世帯)の占める割合をみると、1 号期間滞納者で 28.2%、申請全額免除者で 25.0%と高くなっている」(「結果の概要」から抜粋)
  • 「単身世帯と非単身世帯(世帯人員が2人以上の世帯)別に保険料納付状況をみると、単身世帯の1号期間滞納者の割合は、非単身世帯に比べ高く、その分完納者の割合が低くなっている。」(「結果の概要」から抜粋)
  • 「第1号被保険者の属する世帯の総所得金額の分布をみると、平均が 412 万円、中位数が 255 万円となっている。また、世帯の総所得金額が 100 万円未満の者の割合が 25.4%、うち所得なしの者の割合 が 11.1%となっている」(「結果の概要」から抜粋)
  • 「保険料納付状況別に第1号被保険者の属する世帯の総所得金額の分布をみると、納付者 の平均が 516 万円、中位数が 331 万円となっているのに対し、1号期間滞納者は平均が 300 万円、中位数が 213 万円となっており、1号期間滞納者は、低所得者の割合が納付者に比べ高くなっている一方、世帯の総所得金額が 1,000 万円以上の者も 2.6%いる 」(「結果の概要」から抜粋)
  • 世帯の総所得金額階級別に第1号被保険者本人の保険料納付状況をみると、所得が高いほど完納者の占める割合が高くなる傾向があるが、所得が 1,000 万円以上であっても、1 号期間滞納者が 7.8%いる。一方、所得が低くなるにつれ申請全額免除者の割合は高くなっているが、所得なしであっても保険料を完納している者が 22.7%いる」(「結果の概要」から抜粋)
  • 「保険料納付状況別に第1号被保険者本人の総所得金額の分布をみると、納付者の平均が 164 万円、中位数が 75 万円となっているのに対し、1号期間滞納者は平均が 104 万円、中 位数が 65 万円となっており、1号期間滞納者の方が納付者に比べ総所得金額が低い傾向がある」(「結果の概要」から抜粋)
  • 「男女別に第1号被保険者本人の総所得金額の平均をみると、男子が 156 万 1 千円、女子 が 65 万 4 千円となっている。保険料納付状況別にみると、若年者納付猶予者ではあまり差はないが、それ以外では男 女の総所得額には差があり、特に納付者、1号期間滞納者及び申請全額免除者においては女子の総所得金額の平均は男子の総所得金額の平均の半分以下の金額となっている」(「結果の概要」から抜粋)
  • 「保険料納付状況別に、第1号被保険者の属する世帯の消費支出月額の分布をみると、1号期間滞納者の方が納付者に比べ消費支出が低い傾向がある 」(「結果の概要」から抜粋)

国民年金保険料を納付しない理由について

  • 「1号期間滞納者について、年齢階級別に国民年金保険料を納付しない理由をみると、すべての年齢階級において「保険料が高く、経済的に支払うのが困難」が最も高くなっている。次いで高いのは、20~40 歳代ではおおむね「年金制度の将来が不安・信用できない」の割合、50 歳代では「これから保険料を納めても加入期間が短く、年金がもらえない」の割合となっている」(「結果の概要」から抜粋)
  • 「「保険料が高く、経済的に支払うのが困難」と回答した1号期間滞納者について、年齢 階級別に「保険料が高く、経済的に支払うのが困難」を選んだ理由をみると、すべての年齢階級において、「元々収入が少ない、または不安定だったから」の割合が最も高いが、 年齢階級が上がるにつれ少しずつ低くなり、替わって「失業、事故などにより所得が低下 したから」及び「保険料より優先度の高い支出が多かったから」の割合が高くなる 」(「結果の概要」から抜粋)
  • 「1号期間滞納者について、世帯の総所得金額階級別に国民年金保険料を納付しない理由 をみると、すべての所得金額階級で「保険料が高く、経済的に支払うのが困難」が最も高 い割合となっており、世帯の総所得金額が 1,000 万円以上であっても 48.8%が「保険料が 高く、経済的に支払うのが困難」であると回答している。また、おおむね所得が上がるにつれ「年金制度の将来が不安・信用できない」、「納める保険料に比べて、十分な年金額が受け取れない」及び「うっかり忘れていた、後でまとめて払おうと思った」の割合が高くなっている」(「結果の概要」から抜粋)
  • 「1号期間滞納者について、保険料を納めていないことについての意識をみると、どの年齢階級においても、「もう少し生活にゆとりができれば保険料を納めたい」の割合が最も高くなっている。また、「制度の意義や有利な点が理解できれば納めるつもり」の割合は 若い世代であるほど高くなっている。 」(「結果の概要」から抜粋)
  • 「1号期間滞納者について、世帯の総所得金額階級別に保険料を納付しないことについて の意識をみると、「もう少し生活にゆとりができれば保険料を納めたい」とした者の割合は、所得が1,000 万円未満では大半を占めているが、所得が 1,000 万円以上でも 50.4%となっている。また、所得が上がるにつれ「制度の意義や有利な点が理解できれば納付するつもり」と考えている者の割合が高い傾向にある 」(「結果の概要」から抜粋)

国民健康保険(市町村)の保険料(税)の賦課状況及び納付状況について

  • 「第1号被保険者のうち国民健康保険(市町村)(以下「国保」という。)の保険料(税) を賦課されている者は、70.6%となっている。国保の保険料(税)を賦課されている者について、国保保険料(税)の軽減状況をみると、「軽減なし」が 60.3%、「軽減あり」が 39.7%となっている。また、国民年金の保険料納付状況別に「軽減あり」の割合をみると、納付者は 27.4%、1号期間滞納者は 30.6%、 学生納付特例者は 41.7%、若年者納付猶予者は 23.3%となっており、甚だしい差はないが、 申請全額免除者は 83.9%と高くなっており、申請全額免除者は国保保険料(税)についても軽減措置を受けている割合が高くなっている」(「結果の概要」から抜粋)
  • 国保の保険料(税)を賦課されている者について、国保の保険料(税)納付状況をみると、「全月納付」が 82.9%、「一部納付」が 9.2%、「全月未納」が 7.8%となっている。 国民年金の保険料納付状況別にみると、国民年金の納付者では国保の「全月納付」が 95.3%、国民年金の1号期間滞納者では国保の「全月納付」が59.2%となっており、国民年金保険料を滞納している者であっても、その6割近くは国保の保険料を全月納めている 」(「結果の概要」から抜粋)

国民年金制度の周知度について

  • 「老齢年金を受給するためには、公的年金に加入し、保険料を納めた期間と保険料を全額 免除されていた期間の合計が原則として 25 年以上必要となる。このことに関する周知度は、 60.6%となっており、保険料納付状況別にみると、いずれも前回調査より低くなっている 」(「結果の概要」から抜粋)
  • 国民年金は民間保険会社の個人年金とは異なり、物価水準や国民生活の変動に応じて年金額が改定され、年金の実質的価値がなるべく変わらないような仕組みが取られている。 このことに関する周知度は、41.2%と前回より低くなっている。保険料納付状況別にみると、納付者及び学生納付特例者以外はほぼ横ばい、それ以外では前回調査より低くなっている 」(「結果の概要」から抜粋)
  • 国民年金では、加入期間中の病気やけが等により一定以上の障害の状態になった場合は、 障害年金が支給される。このことに関する周知度は 69.5%となっており、保険料納付状況別にみると、いずれも前回調査より高くなっている 」(「結果の概要」から抜粋)
  • 国民年金では、老齢年金や障害年金のほか、被保険者本人又は被保険者であった者の死 亡時に遺族が年金を受けられる遺族年金の制度がある。このことに関する周知度は 73.5% となっており、保険料納付状況別にみると、いずれも前回調査より高くなっている」(「結果の概要」から抜粋)
  • 国民年金は民間保険会社の個人年金とは異なり、1/2以上が国庫負担でまかなわれている。このことに関する周知度は 32.7%と前回調査より低くなっている。保険料納付状況別にみると、納付者及び申請全額免除者において前回調査より低くなっている 」(「結果の概要」から抜粋)
  • 国民年金保険料は、税額の計算上、全額所得額から控除される。このことに関する周知 度は 48.3%となっている。保険料納付状況別にみると、納付者では 61.2%と高いが、納付 者以外では4割を下回っている」(「結果の概要」から抜粋)
  • 国民年金は、保険料納付期間が短くなると、その分支給額が少なくなる。このことに関する周知度は 90.3%となっており、保険料納付状況別にみると、いずれも前回調査より高くなっている 」(「結果の概要」から抜粋)
  • 国民年金は、社会連帯に基づき、現在の現役世代の支払う保険料によって現在の高齢者を支える、世代間扶養の仕組みとなっている。このことに関する周知度は 85.4%となって おり、保険料納付状況別にみると、いずれも前回調査より高くなっている 」(「結果の概要」から抜粋)
  • 国民年金保険料を一括して前払いすると、保険料が割引される(平成 26 年度では2年分 一括払いで 14,800 円の割引)前納制度がある。このことに関する周知度は 59.5%である。 納付者では 77.2%と高いが、納付者以外では5割を下回っている。」(「結果の概要」から抜粋)
  • 「保険料を口座振替によって当月末の引き落としにする(月々の保険料は翌月末が納付期 限)ことにより、割引となる早割制度がある。このことに関する周知度は 37.6%となっている。納付者では 53.1%と高いが、納付者以外では3割を下回っている 」(「結果の概要」から抜粋)
  • 国民年金保険料は、納め忘れた場合でも過去2年分まで遡って納めることができる。このことに関する周知度は 67.1%となっており、前回調査と比較してやや低くなっている 」(「結果の概要」から抜粋)
  • 国民年金は、通常の保険料に加え、付加保険料等を任意で納付することで受給できる年金 額を増やすことができる。このことに関する周知度は 44.5%となっており、保険料納付状況別にみると、納付者が最も高く56.4%となっている 」(「結果の概要」から抜粋)
  • 「所得の額が一定の基準を下回る基礎年金受給者に対して、年金生活者支援給付金が支給される予定となっている。このことに関する周知度は 18.8%となっており、保険料納付状況別にみても、ほぼ同等となっている 」(「結果の概要」から抜粋)
  • 国民年金保険料の納付は義務であり、滞納した保険料は財産の差押等強制徴収の対象となり得る。このことに関する周知度は 48.1%となっており、保険料納付状況別にみても、 ほぼ同等となっている 」(「結果の概要」から抜粋)

以上が単純集計だが,年金制度の周知度と納付状況の関係についても言及してほしいところだ.いずれにしても貴重な調査であることは間違いない.

 

 

鏡諭「介護保険:これからの10年でできること」『月刊介護保険 Vol.237』

介護保険創設に向けては,国保の二の舞を憂う市町村に納得してもらう必要があった.当時の厚生省ではカリスマ職員といわれる市町村職員を呼び,省の幹部やカリスマ職員たちと勉強会が開催されていたそうである.所沢からは鏡氏が参加していたそうだ.このときのネットワークはいまでも続いていると聞いたことがある.

・鏡諭「第8回介護予防と地域包括支援センターの創設(2):介護保険 これからの10年でできること」『月刊介護保険 Vol.237』pp.46-49.

内容

はじめに

・2006年4月からの介護予防給付の見直しによって,地域支援事業地域包括支援センターが制度化された.

・2015年改正につながる,保険外給付以外の福祉事業を組み込む契機.

1.地域包括支援センターの今日的課題

地域包括支援センターは,2015年厚労省調査によれば,全国市町村で4557.委託が72.2%,自治体直営が27.2%.委託先は社会福祉法人が54.9%,社会福祉協議会が18.6%,医療法人が16.9%で約90%の割合.

地域包括支援センターの制度的根拠は介護保険法115条の45第1項第2号に規定する地域支援事業の包括的支援事業に基づく.業務は,総合相談支援,認知症支援,権利擁護,虐待防止,困難継続ケースにかかるケアマネ支援,介護予防マネジメント.

この介護予防マネジメントは,介護保険における介護予防支援サービス計画に基づくケアマネジメントではない.この介護予防が意味するのは,115条の45第2項第3号に記載があるとおり,「居宅要支援者の要介護状態となることの予防又は要支援者の軽減若しくは悪化の防止」であり,指定介護予防支援又は特例介護予防サービス計画書に係る介護予防支援を受けているものは除外される.つまり要支援1,2の認定を受けたもののマネジメントではない.

・一方,要介護認定によって要支援1,2に該当するものは,地域包括支援センターが受託できる指定介護予防支援事業所のケアマネが介護予防支援サービスを計画し,介護予防マネジメントを行う.

・この構造は理解されておらず,地域包括支援センターが要支援者の介護予防マネジメントを行っていると誤解している人は多い.

2.2015年改正による地域包括ケアシステムの事業

地域包括支援センターの委託事業部分は,委託者である市町村が地域ケアの視点にたって責任主体として仔細に指示・指導しない限り生きたものとならない.

・要援護者の調査を行い,それをデータベース化し,地域包括支援センターと情報共有.

3.2015年改正の課題

・2015年改正により,市町村は新たな総合事業を実施するが,具体的には,介護予防訪問介護と介護予防通所介護に近い事業を,市町村の地域支援事業として実施する.

・これにより複数の主体による複数事業が期待されているが,果たしてそうなるのか.

覚書

・ややマニアックな内容.

地域包括支援センターの委託先が異なることを利用. 

・2006年,2015年法改正を利用.

 

神奈川県川崎市の取り組み:サービスの質を評価する仕組みの制度化を目指す(月刊介護保険237)

月刊介護保険の巻頭を飾る,各自治体の取り組みを紹介するコーナー.毎回勉強になることが多い.

 

「神奈川県川崎市の取り組み:サービスの質を評価する仕組みの制度化を目指す」『月刊介護保険 Vol.237』

内容

1.出生率が高く若い世代の多い都市

・人口144万9651人,高齢化率は18.9%,要介護認定率は17.1%.

・第6期介護保険事業計画期間(H27~29)の介護保険料基準月額は5540円.高齢化率は18.9%と比較的低いが介護保険料は全国平均と同程度.

・介護サービス事業者が多く存在する横浜市などに隣接していることから,要介護者は近隣地域の介護サービスも利用する.

 2.地域包括ケアシステム推進ビジョンを策定

・平成27年3月には,「川崎市地域包括ケアシステム推進ビジョン」を策定.推進ビジョンの特徴は,高齢者をはじめ障害者や子ども,子育て中の親,現時点では他者からのケアを必要としないすべての地域住民を対象に,もともと存在する制度をいかにつなぎ合わせていくかという視点.

 3.介護サービスの質を評価するモデル事業

・平成26年4月に「かわさき健康福寿プロジェクト」を設置し,介護サービス事業者が適切なサービスを提供することで,利用者の要介護度が維持・改善した場合に,評価する仕組みの構築を開始.

・ 介護サービスの質の評価に関する取り組みとしては,岡山県岡山市や東京都品川区が有名であり,川崎市はそのような市町村と情報共有している.

 4.男性に特化した介護者の集いを開催

・平成24年度からは認知症の家族を介護している人を対象に「認知症あんしん生活実践塾」を開催.

・年1回,認知症の親や妻を介護する男性介護者を対象に,介護方法を勉強したり,日頃の介護の悩みを語り合ったりする「男性介護者の集い」を開催している.老健職員などを講師に. 

 

覚書

 ・要介護度を改善させようとするインセンティブ設計の話は以前からずっと議論されている.

・介護サービスの質の評価のあり方に係る検討委員会 「介護サービスの質の評価について

・堀田聡子「「介護サービスの質の評価」の考え方

 

週刊社会保障2849(2015/11/9)のメモ

【時事評論】増田雅暢「「介護離職ゼロ」は可能か?」

内容

・「介護離職ゼロ」とは,介護を理由に仕事を辞める人をゼロにする,ということであるが,果てして可能だろうか.

総務省「平成24年就業構造基本調査」によれば,平成19年から10月から平成24年9月までの5年間に「介護・看護のため」離職した人は48万7千人.毎年平均約10万人であり,うち女性が約8割.約3/4は離職後無業.

・「就業構造基本調査」では,介護・看護のために離職した人は平成14年調査では52万4千,平成19年調査では56万8千人であり,近年介護離職者が急増しているわけではない.

・介護離職者を減少させるためにとられている政策は仕事と介護の両立支援制度がある.介護休業制度(一つの要介護状態ごとに通算して93日の休業)や,介護休暇制度(要介護者一人につき年5日,二人以上の場合は年10日),労働時間の短縮等が代表的.

・「平成26年雇用均等基本調査」では,介護休業制度の規定がある事業所は,30人以上では88%,5〜29人では62%.

・実際の利用状況については,「平成24年就業構造基本調査」では,介護をしている雇用者(240万人)のうち,介護休業の利用者は3.2%,介護休暇と短時間勤務はともに2.3%と低率.

厚労省今後の仕事と家庭の両立支援に関する研究会」では以下の改善策を提言.1)介護休業の分割取得,2)介護休暇の取得単位の見直し,3)選択的措置義務や所定外労働の免除制度の導入,4)ケアマネジャー等による仕事と介護の両立に向けた情報提供.

覚書

・著者が冒頭に掲げる「「介護離職ゼロ」とは,介護を理由に仕事を辞める人をゼロにする,ということであるが,果てして可能だろうか」という問いに対して明確な回答記述はない

・介護離職を本意型離職と不本意型離職に区別する必要がある 

・就調では離職者の年齢,職種,要介護者の状態等調査結果がない

・「平成24年就業構造基本調査の概要,結果等

厚労省今後の仕事と家庭の両立支援に関する研究会

 

週刊社会保障2850(2015/11/16)のメモ

最近メモを怠っていたの再開.

 

 【時鐘】協会けんぽの保険料率

内容

協会けんぽの保険料率10%(47都道府県支部平均)を平成28年度に引き下げるのか,維持するのか,年末に向けて大きなテーマ.

・運営委員会では「単年度収支均衡が原則であり,引き下げられるときは引き下げ,引き上げる必要があるときは引き上げる」という意見が「長いスパンで安定的に運営できる水準に」という意見を圧倒的に上回っている.つまり委員の大勢は料率引き下げ

・1月下旬には医療費の地域差を反映した支部単位の保険料率が決まる.

協会けんぽの保険料率を目安に保険料率を決める健保組合

・「単に協会けんぽの保険料率の問題というわけには行かず,公的医療保険全体のあり様をも考慮した対応が必要」と筆者は述べている.

 覚書

協会けんぽ保険料率と健保組合保険料率の時系列分析 

 

【特集】病院は損益率3.1%の赤字,診療所は15.5%の黒字に

内容

・医療経済実態調査(2年に1度)の結果を報告

・ 調査対象となる医療機関等の抽出率は,病院が1/3,診療所が1/20,歯科診療所が1/50,保険薬局が1/25.

・病院は損益率3.1%の赤字,診療所は15.5%の黒字に

覚書

・ ミクスonline「中医協・医療経済実態調査 一般病院の赤字拡大 診療所・保険薬局は黒字

 

【時事評論】清家篤「還暦の間に起きたこと」

内容

・I. 貧しかった60年前

・ピラミッド型人口構造

・II. 先進国となり高齢化社会

・一世を風靡したCM「モーレツからビューティフルへ」

・III. 豊かさの恩恵

・進学率上昇

エズラ・ヴォーゲル「ジャパンアズナンバーワン」(1979年)

・IV. 高齢社会へ

・著者「日本の経済成長,発展の恩恵を最も大きく受けた世代といえる」

・著者「社会保障制度の面でも,もの心ついた頃には国民皆保険が実現し,親の介護にさしかかると介護保険もできた.私たちは,そうした恵まれた世代であった.このことに感謝し,恩恵を受けた豊かな日本社会,とくに日本の社会保障制度を将来世代にしっかりと引き継がねばならない.こんなことを改めて思いつつ,還暦会の帰途についた.」

覚書

コーホート別にみた年代(60年代,70年代,...,2000年代)への満足度

 

【論壇】佐々木貴雄「国民健康保険における「都道府県化」:2006年改革と社会保障・税一体改革の比較から」

内容

・平成25年度の国民医療費は前年度より2.2%増加の40兆610億となり(「平成25年度国民医療費の概況」),初の40兆円の大台突破.

・このうち約10兆円弱を担うのが国民健康保険

医療保険改革の主軸のひとつは,他の医療保険と比較して年齢が高く負担能力が低いと考えられる加入者の多い国保財政への対応.老人保健制度や後期高齢者医療制度もその一環.

・2006年医療保険改革では後期高齢者医療制度に加えて,各医療保険における都道府県化が進められた.

・当時の政策担当者である栄畑(2007)「医療保険制度の財政運営は将来の方向として都道府県を単位として行うことを明瞭に宣言したものと言えよう」

都道府県化の目的としては「保険者の財政基盤の安定」や「保険者機能が発揮しやすい」ことが挙げられる(「健康保険法等の一部を改正する法律附則第2条第2項の規定に基づく基本方針」).

・より具体的には,「1.保険者として安定的な運営ができる規模が必要があること,2.各都道府県において医療計画が策定されていること,3.医療サービスはおおむね都道府県の中で提供されている実態があること」

社会保障・税一体改革では.医療保険財政の側面だけでなく医療提供体制の側面からも都道府県化が説かれている.

・著者が指摘するのは,地域単位としての都道府県,財政単位としての都道府県,責任主体としての都道府県.

・2018年度に向けて,市町村国保都道府県が中心となって運営する仕組みがつくられているが,これはかねてよりの都道府県化改革のゴールとなるのか.

覚書

・改めて国保財政の分析

国保加入までの生存時間

・複雑な国保財政の補完性もしくは代替性 

都道府県化の目的や正当性を説いた行政文書のテキスト分析

都道府県化の際に掲げられる「1.保険者として安定的な運営ができる規模が必要があること,2.各都道府県において医療計画が策定されていること,3.医療サービスはおおむね都道府県の中で提供されている実態があること」がどの程度達成されているか

 

医薬分業に関する資料・文献メモ

医薬分業に厳しい目が向けられている.医療保険制度が色々と厳しい状況にあるなかで,「医薬分業が医療費を膨張させた」「薬局は儲けすぎだ」「医薬分業は機能していない」等の様々な批判が関係者の間であがっている.で,『社会保険旬報』の2/1号から漆畑稔氏による連載「医薬分業の過去,現在,将来」がはじまった.医薬分業に関心はあるが,議論や文献の整理は未着手のため,これを機に簡単なメモ.

まず日本薬剤師会のHPには以下のような記述がある.

■ 最小の薬剤で最大の効果を
現代の患者さんからは、医薬分業は“二度手間”に見えるかもしれません。しかし、『医制』制定に向けて当時の文部省が提出した上申書には「医師自ラ薬ヲ鬻(ヒサ)キ候ヨリ今日百端ノ弊害ヲ醸(カモシ)候」と記されています。
医師は医学の専門家であり、薬物療法を熟知している半面、複数の薬を服用した際の相互作用や用量を増やした際に起こる副作用等の安全性については、薬という化学物質に精通している薬剤師のようには詳しくありません。それでも、目の前の患者さんが複数の病気や症状に悩んでいれば、医師は3剤、4剤と処方する薬を増やして助けようとするのが道理です。また、明治時代の開業医が診察料よりも薬剤料で生業を立てていたことも、過剰投薬と薬害を助長する土壌となりました。医薬分業を廃止し、薬学の専門家である薬剤師が医療の場から消えれば、今日においても、明治時代と同じ状況が起こりえます。
医薬分業はたしかに“二度手間”ですが、その“二度手間”こそが患者さんの安全を守り、最小の薬剤で最大の効果を上げることで、薬剤費の適正化にも役立っているのです。

当然ながら,医薬分業を推している.さらに,日本薬剤師会のHPには,医薬分業がどの程度進んでいるのかを「医薬分業進捗状況」というページで紹介している.そのひとつの指標が医薬分業率.これについてもHPで紹介されている.

■ 進む完全分業化
外来で処方箋を受け取った患者さんのうち、院外の薬局で調剤を受けた割合を「処方箋受取率」といい、「医薬分業率」とも呼んでいます。
医薬分業はその後の長い道のりをへて、厚生省が37のモデル国立病院に対して完全分業(院外処方箋受取率70%以上)を指示した1997年以降、急速に進み、2003年に初めて全国の医薬分業率が50%を超えました。
2012年度の1年間に全国で発行された処方箋の枚数は7億5888万枚にのぼっていますが、医薬分業率は66.1%に達し、完全分業にようやく近づきつつあります。

さて,医薬分業に関する研究はどの程度進んでいるのか不明であるが,密林で検索してみたところ,以下の文献がヒットした.

 

 

医薬分業の歴史―証言で綴る日本の医薬分業史

医薬分業の歴史―証言で綴る日本の医薬分業史

 

 

“真の医薬分業”へのあくなき挑戦―ジェネリック医薬品が日本の医療を変える

“真の医薬分業”へのあくなき挑戦―ジェネリック医薬品が日本の医療を変える

 

 

医薬分業への道―日本調剤の終わりなき挑戦

医薬分業への道―日本調剤の終わりなき挑戦

 

 

100%医薬分業への課題―フランスの現状との比較で考える (薬事日報新書 20)

100%医薬分業への課題―フランスの現状との比較で考える (薬事日報新書 20)

 

 

医薬分業の時代 (勁草 医療・福祉シリーズ)

医薬分業の時代 (勁草 医療・福祉シリーズ)

 

 

医薬分業の立体像―その現状と問題点 (1981年)

医薬分業の立体像―その現状と問題点 (1981年)

 

 

昭和期における医薬分業の研究

昭和期における医薬分業の研究

 

 

明治期における医薬分業の研究

明治期における医薬分業の研究

 

 

大正期における医薬分業の研究

大正期における医薬分業の研究

 

 医薬分業研究の決定版のような文献が存在するのかは分からないが,文献は多くない.

医薬分業に関する記事はどの程度かと思いググると,医科歯科の川渕孝一氏の記事がみつかった.色々と批判があげられている.

医薬分業は患者のためか?  WEDGE Infinity(ウェッジ) http://bit.ly/HoyYZY 

 ちなみに平成23年版厚生労働白書では,医薬分業の利点について以下の点を挙げている.

[医薬分業の利点]

1)使用したい医薬品が手元に無くても、患者に必要な医薬品を医師・歯科医師が自由に処方できること。

2)処方せんを患者に交付することにより、患者自身が服用している薬について知ることができること。

3 )「かかりつけ薬局」において薬歴管理を行うことにより、複数診療科受診による重複投薬、相互作用の有無の確認などができ、薬物療法の有効性・安全性が向上すること。

4)病院薬剤師の外来調剤業務が軽減することにより、本来病院薬剤師が行うべき入院患者に対する病棟活動が可能となること。

5)薬の効果、副作用、用法などについて薬剤師が、処方した医師・歯科医師と連携して、患者に説明(服薬指導)することにより、患者の薬に対する理解が深まり、調剤された薬を用法どおり服用することが期待でき、薬物療法の有効性、安全性が向上すること。

他に重要文献があれば随時追加していく予定.