shakaihoshotaroの備忘録

日々の暮らしの備忘録

2016-01-01から1年間の記事一覧

Geijtenbeek and Plug (2015) 性転換からみる男女間賃金格差

男女間賃金格差(差別)を検証するために,性転換者の性転換前後の賃金を比較した論文.性転換前後で個人の能力・特性に変化はないが,女性に性転換した者は賃金が下がり,男性に性転換した者は賃金が少し上がった.こういったデータを行政(オランダ)が持…

Xu and Xie (2015) ヴィネット調査による主観的健康観バイアス補正

調査回答の異質性が主観的健康観にバイアスをもたらすかを検証し,そのバイアス補正を試みた論文.前者については,社会経済的地位に関連してシステマティックな回答傾向があるそうだ.このバイアスはなかなか大きいようで,これをヴィネット調査で補正する…

Altman et al. (2016) 主観的健康観は何を意味するか

主観的健康観は健康を測る一指標として広く使われている.その主観的健康観がどのように文脈化されているのかについて,「肥満ー主観的健康観」の関連からAPC分析を行った研究.肥満の人はそうでない人より健康状態が悪いと答えていることがわかった(APCで…

Kang et al. (2016) 婚姻状況と死亡率:幼少期の家族構成に着目して

婚姻状況と死亡率に関連があることは知られているが,その関連が幼少期の家族構成によってどう調整されるのかはよくわかっていない.分析の結果は,妻や夫と死別した場合には死亡確率が高まり,また幼少期に生物学的な両親と暮らしている場合には死亡確率が…

Barbabella et al. (2016) どういう人が外国人ケアワーカーを雇っているか

先進国ではケアの担い手が不足する現象が広くみられるなか,移民や外国人ケアワーカーに着目し,社会経済的な地位が外国人ケアワーカーを雇うか否かを予測するかを検証した論文(イタリアで).イタリアの介護労働市場がよくわからないが,各人がケアワーカ…

Azose et al. (2016) 移民の不確実性を考慮した確率的人口予測

出生率,死亡率,移民を考慮した確率的人口予測を行った論文.少子高齢化やグローバル化に伴う移民増が世界的に進行する中で,人口予測は様々な政策決定に影響を及ぼしている.これまでの人口予測では移民についてdeterministicに扱ってきたが,本論文ではpr…

Currie and Schwandt (2016) 貧富間の死亡率格差

死亡率格差を扱ったキュリー大先生の論文.社会科学者がサイエンスに論文載せるというのは凄いこと.貧困層と非貧困層では死亡率が有意に異なるという死亡率格差がアメリカでは久しく言われているが,そうした研究の多くは中・高年齢層をターゲットにしてい…

Mokdad et al. (2016) 世界の若年層の疾病,死因,リスク要因について

若年層の疾病,死因,リスク要因について大規模に記述した論文.例によって医学系の論文なので著者がやたら多い.若年層の健康はあまり着目されていないそうで,そうした事情がモチベーションになっているという.結果は,色々と出ているが,死因については…

Zhang et al.(2016) ライフコースでみる認知障害の人種間格差

BlacksはWhitesに比べて高齢期に認知障害となりやすいという.この格差をライフコースの視点で分析した論文.幼少期の経験や環境等のライフコース要因を考慮したうえでも人種間格差は大きくあるようだ. Zhang, Z., Hayward, M. D., & Yu, Y.-L. (2016). Lif…

Göpffarth et al.(2016) 医療費が地域によって異なるのはなぜか

ドイツでは地域によって医療費が大きく異なるそうで,その要因を分析した論文.健康状態やデモグラフィック要因等が効いているようだ. Göpffarth, D., Kopetsch, T., & Schmitz, H. (2016). Determinants of Regional Variation in Health Expenditures in …

Kranker (2016) メディケイド疾病管理プログラムが医療費に与えた影響

近年のアメリカの多くの州で導入されているメディケイド疾病管理プログラムが医療費にどのような影響を与えたのかを検証した論文.プログラム導入は医療費適正化を掲げていたため,実際に医療費は削減されたのかを検証する必要がある.結果は,一人あたり一…

「平成26年国民年金被保険者実態調査」

厚労省が昨年の12月25日に「平成26年国民年金被保険者実態調査」の結果を公表した. 厚労省「国民年金被保険者実態調査」 厚労省のページによれば,この調査目的は以下である. 「国民年金第1号被保険者について、保険料の納付状況ごとに、その実態を明らか…