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「平成26年国民年金被保険者実態調査」

厚労省が昨年の12月25日に「平成26年国民年金被保険者実態調査」の結果を公表した.

厚労省国民年金被保険者実態調査

 厚労省のページによれば,この調査目的は以下である.

国民年金第1号被保険者について、保険料の納付状況ごとに、その実態を明らかにし、被保険者の国民年金に対する意識、保険料未納の理由など今後の国民年金事業運営に必要な資料を得ることを目的とする。」

e-statから詳細な統計表を確認できる(最新の調査についてはまだ利用できない).都道府県別の集計も可能だったはずなので,アイディア次第で色々な利用方法があるだろう.厚労省が発表した単純集計の結果からは興味深い点が幾つかあるので,以下にメモする.

 平成26年国民年金被保険者実態調査

調査について

  • 第1号被保険者を直接調査する「郵送調査」の対象は62001人で有効回収率は36.6%
  • 「郵送調査」の対象者の平成25年の所得や平成26年度の課税状況などを市町村職員に尋ねる「所得等調査」の対象は1830市区町村で有効回収率は96.6%
  • 調査票

保険料納付状況について

  • 結果の概要
  • 国民年金第1号被保険者 1,594 万 7 千人注の保険料納付状況をみると、納付者が 749 万 7 千人(総数の 47.0%)(うち完納者が 584 万 6 千人(同 36.7%)、一部納付者が 165 万 1 千人(同 10.4%))、1号期間滞納者が 368 万 4 千人(同 23.1%)、申請全額免除者が 250 万 7 千人(同 15.7%)、学生納付特例者が 179 万 4 千人(同 11.3%)、若年者納付猶 予者が 46 万 4 千人(同 2.9%)となっている 」(「結果の概要」から抜粋)
  • 「保険料納付状況を平成 23 年調査(前回調査)と比較すると、納付者の割合は 1.6 ポイン ト、1 号期間滞納者の割合は 3.1 ポイントの減少となる一方、申請全額免除者の割合は 2.5 ポイント、学生納付特例者の割合は 1.4 ポイント、若年者納付猶予者の割合は 0.7 ポイン トの増加となっている(図1)。 」(「結果の概要」から抜粋)
  • 「届出適用者・職権適用者別に保険料納付状況をみると、届出適用者(1,164 万 6 千人) では、納付者の割合が 54.2%、1号期間滞納者の割合が 19.1%となっているのに対し、職 権適用者(430 万 2 千人)では、納付者の割合が 27.6%、1号期間滞納者の割合が 33.8% となっており、職権適用者の方が1号期間滞納者の割合が高くなっている 」(「結果の概要」から抜粋)
  • 「年齢階級別に保険料納付状況をみると、納付者の割合は年齢階級が上がるにつれて高く なっている。一方、1号期間滞納者の割合は 30~34 歳で 32.6%と最も高く、これ以上の 年齢階級では、年齢階級が上がるにつれ低くなる傾向にある。 」(「結果の概要」から抜粋)
  • 「都市規模別に保険料納付状況をみると、都市規模が大きくなるほど納付者の割合が低く、 1号期間滞納者の割合が高くなっている 」(「結果の概要」から抜粋)
  • 「年齢階級、都市規模別に1号期間滞納者の割合をみると、大都市の 30~34 歳において 36.0%と最も高くなっている。また、全ての年齢階級において、都市規模が大きくなるほ ど1号期間滞納者の割合が高くなっている 」(「結果の概要」から抜粋)

就業状況について

  • 「第1号被保険者の就業状況をみると、自営業主が 16.0%、家族従業者が 7.6%、常用雇用が 9.4%、パート・アルバイト・臨時が 30.9%、無職が 33.3%となっている。無職が最も多く、次いでパート・アルバイト・臨時となっているが、これは一部納付者及び1号期間滞納者を除く保険料納付状況についても同様である。男女別にみると、男子では無職に次いで自営業主の占める割合が高くなっているが、女子では無職に次いでパート・アルバイト・臨時の占める割合が高くなっている」(「結果の概要」から抜粋)
  • 「年齢階級別に就業状況をみると、30~34 歳より下の年齢階級においては、パート・アル バイト・臨時及び無職の占める割合が高くなっており、35~39 歳より上の年齢階級におい てはパート・アルバイト・臨時及び無職に加え、自営業主の占める割合が高くなっている。 」(「結果の概要」から抜粋)

世帯・所得・支出の状況について

  • 「第1号被保険者の属する世帯の平均世帯人員数は 3.1 人となっている。また、保険料納付状況別に単身世帯(世帯人員1人の世帯)の占める割合をみると、1 号期間滞納者で 28.2%、申請全額免除者で 25.0%と高くなっている」(「結果の概要」から抜粋)
  • 「単身世帯と非単身世帯(世帯人員が2人以上の世帯)別に保険料納付状況をみると、単身世帯の1号期間滞納者の割合は、非単身世帯に比べ高く、その分完納者の割合が低くなっている。」(「結果の概要」から抜粋)
  • 「第1号被保険者の属する世帯の総所得金額の分布をみると、平均が 412 万円、中位数が 255 万円となっている。また、世帯の総所得金額が 100 万円未満の者の割合が 25.4%、うち所得なしの者の割合 が 11.1%となっている」(「結果の概要」から抜粋)
  • 「保険料納付状況別に第1号被保険者の属する世帯の総所得金額の分布をみると、納付者 の平均が 516 万円、中位数が 331 万円となっているのに対し、1号期間滞納者は平均が 300 万円、中位数が 213 万円となっており、1号期間滞納者は、低所得者の割合が納付者に比べ高くなっている一方、世帯の総所得金額が 1,000 万円以上の者も 2.6%いる 」(「結果の概要」から抜粋)
  • 世帯の総所得金額階級別に第1号被保険者本人の保険料納付状況をみると、所得が高いほど完納者の占める割合が高くなる傾向があるが、所得が 1,000 万円以上であっても、1 号期間滞納者が 7.8%いる。一方、所得が低くなるにつれ申請全額免除者の割合は高くなっているが、所得なしであっても保険料を完納している者が 22.7%いる」(「結果の概要」から抜粋)
  • 「保険料納付状況別に第1号被保険者本人の総所得金額の分布をみると、納付者の平均が 164 万円、中位数が 75 万円となっているのに対し、1号期間滞納者は平均が 104 万円、中 位数が 65 万円となっており、1号期間滞納者の方が納付者に比べ総所得金額が低い傾向がある」(「結果の概要」から抜粋)
  • 「男女別に第1号被保険者本人の総所得金額の平均をみると、男子が 156 万 1 千円、女子 が 65 万 4 千円となっている。保険料納付状況別にみると、若年者納付猶予者ではあまり差はないが、それ以外では男 女の総所得額には差があり、特に納付者、1号期間滞納者及び申請全額免除者においては女子の総所得金額の平均は男子の総所得金額の平均の半分以下の金額となっている」(「結果の概要」から抜粋)
  • 「保険料納付状況別に、第1号被保険者の属する世帯の消費支出月額の分布をみると、1号期間滞納者の方が納付者に比べ消費支出が低い傾向がある 」(「結果の概要」から抜粋)

国民年金保険料を納付しない理由について

  • 「1号期間滞納者について、年齢階級別に国民年金保険料を納付しない理由をみると、すべての年齢階級において「保険料が高く、経済的に支払うのが困難」が最も高くなっている。次いで高いのは、20~40 歳代ではおおむね「年金制度の将来が不安・信用できない」の割合、50 歳代では「これから保険料を納めても加入期間が短く、年金がもらえない」の割合となっている」(「結果の概要」から抜粋)
  • 「「保険料が高く、経済的に支払うのが困難」と回答した1号期間滞納者について、年齢 階級別に「保険料が高く、経済的に支払うのが困難」を選んだ理由をみると、すべての年齢階級において、「元々収入が少ない、または不安定だったから」の割合が最も高いが、 年齢階級が上がるにつれ少しずつ低くなり、替わって「失業、事故などにより所得が低下 したから」及び「保険料より優先度の高い支出が多かったから」の割合が高くなる 」(「結果の概要」から抜粋)
  • 「1号期間滞納者について、世帯の総所得金額階級別に国民年金保険料を納付しない理由 をみると、すべての所得金額階級で「保険料が高く、経済的に支払うのが困難」が最も高 い割合となっており、世帯の総所得金額が 1,000 万円以上であっても 48.8%が「保険料が 高く、経済的に支払うのが困難」であると回答している。また、おおむね所得が上がるにつれ「年金制度の将来が不安・信用できない」、「納める保険料に比べて、十分な年金額が受け取れない」及び「うっかり忘れていた、後でまとめて払おうと思った」の割合が高くなっている」(「結果の概要」から抜粋)
  • 「1号期間滞納者について、保険料を納めていないことについての意識をみると、どの年齢階級においても、「もう少し生活にゆとりができれば保険料を納めたい」の割合が最も高くなっている。また、「制度の意義や有利な点が理解できれば納めるつもり」の割合は 若い世代であるほど高くなっている。 」(「結果の概要」から抜粋)
  • 「1号期間滞納者について、世帯の総所得金額階級別に保険料を納付しないことについて の意識をみると、「もう少し生活にゆとりができれば保険料を納めたい」とした者の割合は、所得が1,000 万円未満では大半を占めているが、所得が 1,000 万円以上でも 50.4%となっている。また、所得が上がるにつれ「制度の意義や有利な点が理解できれば納付するつもり」と考えている者の割合が高い傾向にある 」(「結果の概要」から抜粋)

国民健康保険(市町村)の保険料(税)の賦課状況及び納付状況について

  • 「第1号被保険者のうち国民健康保険(市町村)(以下「国保」という。)の保険料(税) を賦課されている者は、70.6%となっている。国保の保険料(税)を賦課されている者について、国保保険料(税)の軽減状況をみると、「軽減なし」が 60.3%、「軽減あり」が 39.7%となっている。また、国民年金の保険料納付状況別に「軽減あり」の割合をみると、納付者は 27.4%、1号期間滞納者は 30.6%、 学生納付特例者は 41.7%、若年者納付猶予者は 23.3%となっており、甚だしい差はないが、 申請全額免除者は 83.9%と高くなっており、申請全額免除者は国保保険料(税)についても軽減措置を受けている割合が高くなっている」(「結果の概要」から抜粋)
  • 国保の保険料(税)を賦課されている者について、国保の保険料(税)納付状況をみると、「全月納付」が 82.9%、「一部納付」が 9.2%、「全月未納」が 7.8%となっている。 国民年金の保険料納付状況別にみると、国民年金の納付者では国保の「全月納付」が 95.3%、国民年金の1号期間滞納者では国保の「全月納付」が59.2%となっており、国民年金保険料を滞納している者であっても、その6割近くは国保の保険料を全月納めている 」(「結果の概要」から抜粋)

国民年金制度の周知度について

  • 「老齢年金を受給するためには、公的年金に加入し、保険料を納めた期間と保険料を全額 免除されていた期間の合計が原則として 25 年以上必要となる。このことに関する周知度は、 60.6%となっており、保険料納付状況別にみると、いずれも前回調査より低くなっている 」(「結果の概要」から抜粋)
  • 国民年金は民間保険会社の個人年金とは異なり、物価水準や国民生活の変動に応じて年金額が改定され、年金の実質的価値がなるべく変わらないような仕組みが取られている。 このことに関する周知度は、41.2%と前回より低くなっている。保険料納付状況別にみると、納付者及び学生納付特例者以外はほぼ横ばい、それ以外では前回調査より低くなっている 」(「結果の概要」から抜粋)
  • 国民年金では、加入期間中の病気やけが等により一定以上の障害の状態になった場合は、 障害年金が支給される。このことに関する周知度は 69.5%となっており、保険料納付状況別にみると、いずれも前回調査より高くなっている 」(「結果の概要」から抜粋)
  • 国民年金では、老齢年金や障害年金のほか、被保険者本人又は被保険者であった者の死 亡時に遺族が年金を受けられる遺族年金の制度がある。このことに関する周知度は 73.5% となっており、保険料納付状況別にみると、いずれも前回調査より高くなっている」(「結果の概要」から抜粋)
  • 国民年金は民間保険会社の個人年金とは異なり、1/2以上が国庫負担でまかなわれている。このことに関する周知度は 32.7%と前回調査より低くなっている。保険料納付状況別にみると、納付者及び申請全額免除者において前回調査より低くなっている 」(「結果の概要」から抜粋)
  • 国民年金保険料は、税額の計算上、全額所得額から控除される。このことに関する周知 度は 48.3%となっている。保険料納付状況別にみると、納付者では 61.2%と高いが、納付 者以外では4割を下回っている」(「結果の概要」から抜粋)
  • 国民年金は、保険料納付期間が短くなると、その分支給額が少なくなる。このことに関する周知度は 90.3%となっており、保険料納付状況別にみると、いずれも前回調査より高くなっている 」(「結果の概要」から抜粋)
  • 国民年金は、社会連帯に基づき、現在の現役世代の支払う保険料によって現在の高齢者を支える、世代間扶養の仕組みとなっている。このことに関する周知度は 85.4%となって おり、保険料納付状況別にみると、いずれも前回調査より高くなっている 」(「結果の概要」から抜粋)
  • 国民年金保険料を一括して前払いすると、保険料が割引される(平成 26 年度では2年分 一括払いで 14,800 円の割引)前納制度がある。このことに関する周知度は 59.5%である。 納付者では 77.2%と高いが、納付者以外では5割を下回っている。」(「結果の概要」から抜粋)
  • 「保険料を口座振替によって当月末の引き落としにする(月々の保険料は翌月末が納付期 限)ことにより、割引となる早割制度がある。このことに関する周知度は 37.6%となっている。納付者では 53.1%と高いが、納付者以外では3割を下回っている 」(「結果の概要」から抜粋)
  • 国民年金保険料は、納め忘れた場合でも過去2年分まで遡って納めることができる。このことに関する周知度は 67.1%となっており、前回調査と比較してやや低くなっている 」(「結果の概要」から抜粋)
  • 国民年金は、通常の保険料に加え、付加保険料等を任意で納付することで受給できる年金 額を増やすことができる。このことに関する周知度は 44.5%となっており、保険料納付状況別にみると、納付者が最も高く56.4%となっている 」(「結果の概要」から抜粋)
  • 「所得の額が一定の基準を下回る基礎年金受給者に対して、年金生活者支援給付金が支給される予定となっている。このことに関する周知度は 18.8%となっており、保険料納付状況別にみても、ほぼ同等となっている 」(「結果の概要」から抜粋)
  • 国民年金保険料の納付は義務であり、滞納した保険料は財産の差押等強制徴収の対象となり得る。このことに関する周知度は 48.1%となっており、保険料納付状況別にみても、 ほぼ同等となっている 」(「結果の概要」から抜粋)

以上が単純集計だが,年金制度の周知度と納付状況の関係についても言及してほしいところだ.いずれにしても貴重な調査であることは間違いない.